家 その⑥
順調に家も建ち、隣の土地も整地し、段々と住める環境が整ってきたので、引っ越しをする事にしました。
引っ越しを終え、これからここに住むんだと思ったらなんだか不思議な感じがしたのを覚えています。
長いこと人が住んで無かったこの土地に人が住むということは、土地を使う、草を刈る、木を切る、物を建てる、枝を払う、踏み固める…。人間に例えると、勝手に人の髪を切って、身なりを整えて綺麗にさせられた感じ。
この土地の身になって考えれば、勝手に何するんだ!と言ったところですね。
すみません、勝手してますけど、悪いようにはしませんから見守っていて下さい。というような気持ちで引っ越し当日は眠りにつきました。
その夜、不思議な夢を見ました。
親しい友人が、困ったから助けてくれと私に会いに来ました。
私はどうしたの?と親身になって聞こうとした瞬間にケタケタと甲高い笑い声と共に顔が狐の様になり、走り去っていきました。
なんじゃあの夢は…。不思議に思って起きました。何もいません。
また寝ました。また出てきました。今度こそ騙されないぞと思っているのですが、やっぱり親身に聞いてしまいます。
また走り去って行きました。